事後報告 イザローンを振り返る4 「君はやっとドイツ語を話したね」

Nummer4をお送りいたします。
月曜日。小学校の1年B組の教室。朝のあいさつが終わると、週末に何をしたか一人ずつ発表していきます。今までずっとドイツ語が話せず、先生の質問にうなずくだけしていた子が、「Ich habe mit meiner Schwester gespielt.妹と遊んだよ。」と言いました。その時、向かい側の席の子が「Du hast endlich Deutsch gesprochen!! 君はやっとドイツ語を話したね。」と喜んだ光景が今でもしっかり頭の中に焼きついています。それぞれのクラスには、母国がドイツでない子供たちが実にたくさんいます。そのため、子供たちのドイツ語のレベルも様々で、職員室ではこのことに関する話題が中心でもあります。入学前には、母国語のレベルを調べることによって、ドイツ語の上達度を予測するシステムを導入したり、授業中には先生自身が外国語を使って説明したり、取り出し授業によって個人指導をするなど、母国語がドイツ語でない子供達を踏まえての授業対策が色々な形でとられています。家の家族とは母国語、学校ではドイツ語、といった何とも器用に言葉を使いこなす子供達ですが、子供なりに苦労もしているのだろうか、、、校庭で元気に遊んでいる彼らを見て疑問に思うことがしばしばありました。日本語を話せるのが当たり前の日本人の中で学校生活を送ってきた私にとっては驚くほかない光景でした。また、言葉だけではなく、宗教も様々で、給食のときのソーセージも宗教によって違ったものが用意されていました。
小学校という小さな集団ですが、この中で様々な母国語、文化、生活習慣をもつ子供達が共に勉強し、遊び、助け合って生活しています。ここでは「競争」ではなく「共存」ということが大切なのだと思いました。
長澤 あい